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GPT-5.6 正式リリース

箕浦
箕浦
ディアシステム(株)開発二部

こんにちは。開発二部の箕浦です。

日本時間の2026年7月10日、OpenAIから GPT-5.6 が正式リリースされました。

今回のアップデートは、単にモデルの性能が上がっただけではありません。
高性能な Sol、性能と価格のバランスを重視した Terra、高速・低価格な Luna の3モデルが登場し、複数のAIエージェントを並列に動かす Ultra、長時間の仕事を任せられる ChatGPT Work も提供されます。

OpenAIの公表ベンチマークでは、Claude 5系モデルと比べてコーディング性能やエージェント性能、処理時間、コスト効率で優位な結果も示されました。
この記事では、GPT-5.6のモデル構成、性能、料金、ChatGPT Work、Codexとの統合、実務での使い分けを整理します。

本記事の性能比較は、特記がない限りOpenAIが公開した評価結果に基づきます。ベンチマークは実際の業務における性能を保証するものではなく、タスクや設定によって結果は変わります。

GPT-5.6は3つのモデルから選べる

GPT-5.6では、用途に合わせて選べる3つのモデルが用意されました。

モデル位置づけ向いている用途
GPT-5.6 Sol最も高性能なフラッグシップモデル複雑なコーディング、専門的な分析、長時間のエージェント作業
GPT-5.6 Terra性能とコストのバランスを重視日常業務、資料作成、一般的な開発作業
GPT-5.6 Luna最も高速で低価格大量処理、定型作業、速度を優先するタスク

これまではモデル名の数字やサフィックスから性能を判断する必要がありました。
GPT-5.6以降は、世代を表す「5.6」と、性能帯を表す「Sol・Terra・Luna」を組み合わせることで、モデルの立ち位置が分かりやすくなっています。

迷った場合は、次の考え方が使いやすそうです。

  • 品質を最優先するなら Sol
  • 日常的な業務やコストとのバランスなら Terra
  • 大量の軽量タスクや応答速度を重視するなら Luna

GPT-5.6はどこで使えるのか

GPT-5.6は、ChatGPT、ChatGPT Work、Codex、OpenAI APIで順次提供されます。
OpenAIによると、世界全体への展開はリリースから24時間程度かけて段階的に行われます。

主な提供範囲は次のとおりです。

利用場所提供内容
ChatGPTPlus、Pro、Business、EnterpriseでGPT-5.6 Solを利用可能
ChatGPT Work / CodexFree・GoはTerra、Plus以上はSol・Terra・Lunaを選択可能
OpenAI APISol・Terra・Lunaの3モデルを利用可能
UltraChatGPT WorkはPro・Enterprise、CodexはPlus以上で利用可能

ChatGPT WorkとCodexでは、モデルだけでなく思考量も設定できます。
難しい問題に時間をかけて取り組む Max に加え、複数のエージェントを並列実行する Ultra が追加されたことが大きな変更点です。

コーディング性能とコスト効率が大きく向上

GPT-5.6で特に注目したいのが、コーディングエージェントとしての性能です。

OpenAIの発表では、Artificial Analysis Coding Agent Indexにおいて、GPT-5.6 SolのMax設定は 80ポイントを記録しました。
Claude Fable 5の77.2ポイントを上回りながら、出力トークンと処理時間は半分未満、推定コストは約3分の2に抑えられたとされています。

指標GPT-5.6 SolClaude Fable 5
Coding Agent Index8077.2
Agents' Last Exam53.640.5
Artificial Analysis Intelligence Index58.959.9

総合知能の指標ではClaude Fable 5が1ポイント上回っています。
一方でGPT-5.6 Solは、その評価を 61%短い時間、約半分の推定コストで実行したと報告されています。

つまり、「すべての能力でClaude 5を上回った」と単純化するよりも、次のように捉えるのが適切です。

  • 総合知能や一部の難問ではClaude 5系が強い
  • コーディングエージェントやターミナル操作ではGPT-5.6が強い
  • 長時間のエージェント作業ではGPT-5.6のコスト効率が高い
  • 実務では、最高スコアだけでなく処理時間と総コストも重要になる

ベンチマークごとに結果は異なります。たとえばSWE-Bench ProではClaude Mythos 5がGPT-5.6 Solを上回る結果も公開されています。
用途を決めずに「どちらが最強か」を議論するより、実際のタスクで比較することが重要です。

Ultraで複数のAIエージェントを並列実行

GPT-5.6を象徴する機能が Ultra です。

通常のAIエージェントは、ひとつのエージェントが調査、実装、確認を順番に進めます。
Ultraでは、標準で4つのエージェントが複数の作業を並列に進め、最後に結果を統合します。

たとえばWebサービスの開発であれば、次のような分担が考えられます。

  1. 既存コードと要件を調査する
  2. フロントエンドを実装する
  3. バックエンドやテストを確認する
  4. セキュリティや設計上の問題をレビューする

OpenAIの評価では、エージェント数を増やすことで、BrowseComp、SEC-Bench Pro、Terminal-Bench 2.1におけるスコアと処理時間の両方が改善しました。
APIでは、Responses APIの Multi-agentベータを使い、複数のサブエージェントを並列実行して結果をひとつのリクエストにまとめられます。

ただし、Ultraは多くのエージェントを動かす分、通常より利用量を消費します。
単純な質問や小さな修正ではTerraやLunaを使い、複雑で並列化しやすい仕事だけUltraに任せるのが現実的です。

ChatGPT Workで「回答」から「完成した仕事」へ

GPT-5.6と同時に登場した ChatGPT Work は、長時間の作業に対応するAIエージェントです。

従来のChatGPTが質問に答えることを中心としていたのに対し、ChatGPT Workは、ゴールを受け取って必要な工程を分解し、数時間かかるプロジェクトでも完成した成果物まで作ります。

たとえば、次のような仕事をまとめて依頼できます。

  • 複数の資料を調査し、報告書やプレゼン資料を作る
  • Slackやメールから情報を集め、会議用の資料にまとめる
  • 売上データを分析し、表計算とグラフを作る
  • 市場調査からマーケティング施策の案を作る
  • Webサイトや業務用ダッシュボードを作成する
  • 定期実行で情報を監視し、資料を更新する

Google Drive、SharePoint、Gmail、Outlook、Slack、Microsoft Teamsなどとは、プラグインを通じて連携できます。
また、Sitesを使うと、作成したWebサイトやダッシュボードをURLで共有できます。

Web・モバイル版のChatGPT WorkはPro、Enterprise、Eduから展開が始まり、PlusとBusinessにも順次提供されます。
デスクトップ版では、Chat、Work、Codexがひとつのアプリに統合され、MacとWindowsの全プランで利用できます。

CodexはChatGPTデスクトップアプリへ統合

今回の更新では、従来のCodexアプリが新しいChatGPTデスクトップアプリへ統合されます。
既存のCodexユーザーがアプリを更新すると、新しいChatGPTアプリに切り替わり、同じ画面から次の3つのモードを利用できます。

  • Chat:質問、相談、文章作成などの一般的な会話
  • Work:アプリやファイルを横断する長時間の業務
  • Codex:ソフトウェア開発や技術的な作業

Codex自体は、これまでどおり開発者向けの強力なコーディングエージェントとして利用できます。
さらにGPT-5.6による高速なComputer Use、差分内でのインライン編集、サイドパネルでのプルリクエストレビュー、ひとつのプロジェクトで複数リポジトリを扱う機能などが追加されました。

一般的な資料作成や情報整理はWork、コードベースを扱う開発作業はCodex、という使い分けが分かりやすいでしょう。

API料金

API料金は、100万トークンあたり次のように設定されています。

モデル入力出力
GPT-5.6 Sol5ドル30ドル
GPT-5.6 Terra2.5ドル15ドル
GPT-5.6 Luna1ドル6ドル

Solは単価だけを見ると高価ですが、少ないトークンと短い時間でタスクを完了できれば、エージェント全体の実行コストを抑えられる可能性があります。

また、GPT-5.6ではプロンプトキャッシュの仕組みも強化されました。
キャッシュの書き込みは通常の入力料金の1.25倍、キャッシュの読み込みは通常の入力料金から90%割引となります。
繰り返し同じ資料や長い指示を使うシステムでは、キャッシュをうまく使うことでコスト削減が期待できます。

まず何に使うべきか

GPT-5.6を試す場合、いきなり大規模な自動化を目指す必要はありません。
まずは、自分が内容をよく知っていて、結果の良し悪しを判断できる仕事から始めるのがおすすめです。

たとえば、次のような用途なら導入効果を確認しやすいでしょう。

  • 手元の資料をもとにスライドを作る
  • 会議メモから報告書を作る
  • Webサイトや小さな業務アプリの試作を行う
  • SNS投稿やメールの下書きを作る
  • コードの修正とテストをまとめて依頼する
  • 定期的な情報収集やレポート作成を自動化する

小さな仕事で精度と利用量を確認し、慣れてからWork、Scheduled Tasks、Ultra、APIのMulti-agentへ広げると、安全に活用範囲を増やせます。

まとめ

GPT-5.6は、モデル単体の知能だけでなく、仕事を完了するまでの時間とコストを強く意識したモデルです。

特に注目したいのは、次の点です。

  • Sol・Terra・Lunaの3モデルで性能とコストを選べる
  • コーディングとエージェント作業の性能が向上した
  • Ultraで複数のエージェントを並列実行できる
  • ChatGPT Workがアプリやファイルを横断して成果物を作る
  • Chat、Work、Codexがデスクトップアプリに統合された
  • APIでもProgrammatic Tool CallingとMulti-agentを利用できる

Claude 5系は、総合知能や一部の難しいコーディング評価で引き続き強さを見せています。
一方、GPT-5.6はコーディングエージェント、処理速度、トークン効率、マルチエージェントという実務上の重要な領域で大きく前進しました。

どちらか一方に完全に乗り換えるよりも、まずは同じ実務タスクを両方に任せ、品質・時間・コストを比べて使い分けるのが良さそうです。
個人的には、普段の業務はTerra、難しい開発や資料作成はSol、複数の作業を並列化したいときだけUltra、という使い方から試してみたいと思います。

参考

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