経験を生かして新卒採用ツールを作ってみた(1) ~採用とPマークの経験をつなげてみた~
はじめに
私は普段、システム開発の仕事をしています。その一方で、新卒採用ワーキングの一員としても活動してきました。どんな人を採用するのかを皆で話し合い、採用サイトをメンテナンスし、選考を進める。そんな役回りです。
そしてもう一つ。以前は、プライバシーマークの運用担当でもありました(今は情報セキュリティの管理の仕組み(ISMS)へ一本化するのに合わせて、認定を返上しています)。
採用活動が一段落した日、振り返りのために採用サイトからデータを出しました。その画面を見て、私の手は止まりました。
「このデータ、このまま使っていいんだっけ」
採用担当の私が「振り返りたい」と言い、個人情報の担当だった私が「待て」と言う。一人で会議が始まってしまいました(;^ω^)
この記事は、AIを使って何を作ったかより前の話です。その会議がどう決着して、なぜ道具を作ることになったのかを書いてみます。
結論だけほしい方はこちらの振り返りをご確認ください。
なお、ここで紹介するツールは個人開発として作ったものであり、当社のプロダクトではありません。実際の採用活動で運用するかどうかは未定です。
今回の対象読者
- 開発者が、何を考えてものを作っているのか知りたい方
- AIを使った開発が、実際にはどんなところから始まるのか気になる方
今回は技術やAIへの指示の出し方は扱いません。作る前に、何を決めたのかという話です。
まず結論
道具を作る前に、私が決めなければいけなかったことは二つでした。
- あとで何を振り返りたいのか
- 応募者から預かった情報をどう扱うのか
AIに相談したのは、その後です。何を作るか、何を守るか。この最初の判断だけは、人がやるしかありませんでした。
振り返りたいのに、材料が揃わない
まず、採用担当の私の言い分です。
見たかったのは、「参加したイベントは応募につながったのか」「どの経路から来た方が選考を進んだのか」。こういうことを確かめて、次の活動を少しでも良くしたいわけです。
ところが、採用サイトから出てくるデータは、その問いにそのまま答えられる形ではありませんでした。必要な項目が分かれていたり、記録の仕方が途中で変わっていたり。
記録が残っていることと、振り返りに使えることは、別でした。
本来は活動を始める前に、「終わったあとに何を確かめたいか」を決めて、そのための記録を残しておくべきでした。毎年やっているのに、毎年ここで困っている。我ながらどうなんだという話です。
個人情報の扱いを、道具づくりでも確認する
次に、個人情報の担当だった私の言い分です。
採用で扱うのは、応募者から預かった個人情報です。「あとで使うかもしれないから残しておこう」ができません。何のために預かるのか、いつまで扱うのかを、最初に決めておく必要があります。
それに、振り返りで見たいのは一人ひとりの名前ではありません。活動全体の傾向や、次に変えられそうなところです。
どの情報を記録するのか。何のために使うのか。誰が見られるのか。いつまで持つのか。この四つは、道具を作る段階から同時に考えるべきことでした。
まず、道具の役割を言葉にする
会議の決着はこうです。振り返りに使える形で、最初から記録を残していけばいい。
そこで最初に考えたのは、画面の見た目や機能の数ではなく、この道具で何をしたいのかをできるだけ短い言葉にすることでした。
採用活動の進み具合を見られること。そして、活動が終わったあとに、次へ生かすための記録を残せること。この二つに絞りました。
連絡の機能も、通知も、分析の画面も思いつきました。でも全部やろうとすると、たぶん何も終わりません。
実務では、目的と守るものを先に決める
仕事で何かを作るときも、「何のためか」と「何を守るか」を先に確認しておくと、途中で迷いにくくなります。
作り始めてからは、細かい判断が次々に出てきます。そのたびに立ち止まっていたら進みません。先に決めておいた二つが、そのときの物差しになりました。
これは、AIに手伝ってもらう場合でも変わりません。むしろ任せる範囲が広がるほど、最初に決めたことが効いてきます。
AIに相談したのは、そのあと
ここまで決めてから、AIに相談を始めました。
最初から「採用管理ツールを作って」と頼んだわけではありません。自分が考えた目的や、守りたいことを伝えながら、必要な機能や進め方を一緒に整理していきました。
AIがいることで、考えを言葉にしたり、案を比較したりする作業は、はっきり進めやすくなりました。
ただ、何を記録するのか。何のために使うのか。個人情報をどう扱うのか。こうしたことは、AIに任せる判断ではありませんでした。
AIは、考えを形にするための相談相手でした。何を作るかを決めるのは、私の仕事でした。
まとめ
AIを使った開発でも、最初に決めるべきことは変わりません。
- 何のために作るのか
- あとで何を確かめたいのか
- どの情報を、どのように扱うのか
次回は、こうして決めたことをもとに、AIとどのように小さく作り始めたのかを書いてみます。
なお、このツールは会社のプロダクトではありません。自分の手で一通り作ってみるための個人開発です。実際の採用活動で運用するかどうかは未定です。